「霊山/福島県」

2022年12月27日

霊山(りょうぜん)は、福島県伊達市と相馬市との境にそびえる標高825mの山。国の名勝、日本百景、県立自然公園および「うつくしま百名山」(1998年(平成10年)に福島テレビが開局35周年を記念して選定した福島県内各地域を代表する名山百選。)に指定されている。また、南北朝時代の重要な城跡遺構として国の史跡に指定されている。阿武隈高地の北部に位置する玄武岩の溶岩台地で、丘陵は起伏に富み、奇岩を連ねる岩山である。名前のついた巨岩も眺めのいい展望所もたくさんあり、密教ならではの祈りの痕跡も多数ある。特に「護摩壇(ごまだん)」は、荒々しい岩壁にえぐられるようにして造られており展望も良い。吾妻山・安達太良山方面の絶景よく、相馬市方面の眺めも素晴らしい。859年(貞観元年)に慈覚大師円仁によって開山された。山の名も釈迦が修行したインドの霊鷲山(りょうじゅせん)にちなんで円仁によって名付けられたと伝わる。円仁が霊山寺を創建したことで東北山岳仏教の聖地となった。南北朝時代には北畠顕家の拠点となり、1337年8月に顕家が西国に出陣した後、1347年に霊山城が落城したことで歴史の表舞台から姿を消した。

現在は遊歩道がよく整備されて登りやすい山となっており、弁天岩や天狗の相撲場、蟻の戸渡りなどの奇岩巡りができる。また、中通りと浜通りの境に位置する分水嶺の一端を成しており、西物見岩からは福島市街地や伊達郡、伊達市、東物見岩からは相馬市街地や相馬郡、太平洋まで望むことができる。紅葉の名所としても知られており、毎年10月下旬から11月上旬には多くの登山客で賑わう。