「宍道湖/島根県」

2022年12月02日

宍道湖(しんじこ)は、島根県松江市と出雲市にまたがる湖。一級水系の斐伊川の一部。

湖沼水質保全特別措置法指定湖沼。「日本百景」。主に大橋川・中海・境水道を介して日本海と接続し、淡水湖ではなく汽水湖である。(平均塩分濃度は海水の約1/10)。島根県東北部に位置し、面積は日本国内で7番目、島根県内では鳥取県境に位置する中海に次ぎ、2番目に大きな湖である。形状は東西に長い長方形。東西約17km、南北約6km、周囲長47km。湖の面積の約5割が水深5m以上であり、湖底はほぼ水平となっている。宍道湖は、斐伊川本流の一部である。斐伊川本流の河口は境水道から日本海へ注ぐ地点であるが、便宜上、河川整備計画等では宍道湖合流点より上流側の区間を斐伊川本川と称し、宍道湖に流れ込む地点を斐伊川本川河口と称している。流入河川は、最大流量を誇る斐伊川本川など宍道湖の北、西、南から20数河川に及んでいるが、主な流出河川は東端に位置し、中海へ流れる大橋川である。宍道湖と中海は日本では数少ない連結汽水湖となっている。宍道湖の周辺湖岸にはヨシが生育しているほか、アオノリ等の海藻も生育している。宍道湖は有数の水鳥の渡来地であり、240種以上の鳥類が生息しており、特にガン・カモ類は毎年40,000羽を超え、なかでもキンクロハジロが20,000羽以上、スズガモが5,000羽以上の渡来が確認されている。さらに、マガン、キンクロハジロ、スズガモについては、全世界の水鳥の一種の個体数の1%以上を支えている。それら鳥類の餌となるスズキ、ボラ、シラウオ、ワカサギ等の魚類やヤマトシジミ、イシマキガイ、カワザンショウガイ等の貝類が生息している。宍道湖では、これまでに68種の甲殻類が報告されている。稀少種としてシンジコハゼが生息する。2005年(平成17年)11月、宍道湖国指定鳥獣保護区(集団渡来地)に指定され(面積7,851ha、うち特別保護地区7,652ha)、近接する中海と共にラムサール条約に登録された。ネオニコチノイド系の殺虫剤の農業利用により、水中プランクトンを捕食するウナギ等の絶対数が激減し食物連鎖の乱れが発生している。宍道湖は湖内の漁獲量の約9割を占めるシジミ漁で有名である。シジミの種類はヤマトシジミ。1970年代が最盛期とされ、1991年(平成3年)から2010年(平成22年)まで当地を含む島根県がシジミの漁獲高で日本一となっていた。 その間の「農林水産省 漁業・養殖業生産統計年報 平成12年度」では、全国のシジミ漁獲量19,295トン中、約39%の7,500トンが宍道湖とされていた。ところが、塩分濃度の低下やアオコの発生などの問題によるシジミの大量死が起きるなどしたため、漁獲高が急速に減少し、2013年(平成25年)島根県全体でも2,000トンを切る状況となった。そのため、稚貝を栽培して放流したり、禁漁日を増やすなどの対策を進め、2014年(平成26年)のシジミの漁獲高は、当地は湖沼別で、島根県は都道府県別で、各々日本一を奪回した。このほか、汽水湖のために魚種も豊富で、スズキ、モロゲエビ(ヨシエビ)、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シジミ、コイ、シラウオが「宍道湖七珍」と呼ばれている。それぞれの頭一文字をとって「スモウアシコシ」と覚える。