「エルブルス/ロシア」

2022年10月28日

エルブルス(Elbrus)はコーカサス山脈の最高峰である。標高は5,642mで、ヨーロッパの最高峰でもある(地理的には大コーカサス山脈がヨーロッパとアジアの境界とされる)ほか、ロシア連邦自体の最高峰でもある。ロシア連邦に属するカバルダ・バルカル共和国の南部に位置し、キスロヴォツクから南西に65km。ジョージアとの国境から北に約12km。多くの氷河があり、それらはバクサン川やクバン川などの源流になっている。2つの頂上のうち、東峰(5,621m)は、1829年7月、ロシア軍・科学調査隊のガイドののキラル・ハシロフが初登頂した。西峰(5,642m)には、1874年(明治7年)にF. クロフォード・グローヴが率いるイギリスの探検隊が登頂した。西峰と東峰は約3km離れている。ソビエト連邦では、登山は非常に人気のあるスポーツとなり、多くの登山者が現れた。第二次世界大戦中の1942年(昭和17年)、作戦名「青」により南下してきたドイツのA軍集団指揮下の山岳部隊が登頂した。登山の際、ソ連軍の山岳部隊と交戦する。「青」作戦の目標と関係のないこの登頂事業にヒトラーは激怒し、A軍集団司令官ヴィルヘルム・リスト元帥の解任の一因ともなる。ドイツ軍は1942年末にはこの地域から撤退した。山頂に残っていたドイツ国旗は、ソ連軍の山岳部隊が撤去する。1956年(昭和31年)、カバルダ・バルカル共和国のロシアへの併合から400周年を記念して400人の登山隊が登頂した。1959年(昭和34年)から1976年(昭和51年)にかけて、3,900mの地点までロープウェイがつくられた。また、4,100mの地点には登山者のための宿泊施設もある。夏季には、この登頂路を通って1日に100人を超える登山者が登頂を試みることも珍しくない。

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