いかすみ汁／沖縄県

2023年12月05日

「いかすみ汁」はイカの墨を使った真っ黒の汁物料理で沖縄県の郷土料理。具材にはもちろんイカを入れるが、他にも豚肉、島豆腐、「にがな」と呼ばれる葉物野菜なども入れる。イカは体長50cm、体重2kgにも及ぶ「アオリイカ」を使う事が多く、体内にあるスミ袋を取り出して「すみ汁」を作る。「いかすみ汁」は真っ黒で見た目はあまり良くないが、真っ黒なイカの墨にはイカ本来の旨味が凝縮されており、イカの身だけでは味わえない美味しさがある。イカの墨をたくさん入れるほど濃厚な味わいになり、イカの身の旨味とイカ墨の旨味が染み出た「いかすみ汁」は丸ごとイカの味が堪能できる贅沢な一品である。「いかすみ汁」は元々は健康を考えた薬膳食として食べられていた料理。イカの墨は健康に良いといわれていた事から、イカの身と墨を味わえる「いかすみ汁」が作られたようだ。沖縄県は長らく琉球王国として独立を保ってきたが、その間中国との交易の中で大陸の文化の影響も受けてきた。中国の料理には「医食同源」という考えがあって薬膳食が多く、琉球王国にもそうした薬膳食が伝わったといわれている。その薬膳食の一つが「いかすみ汁」ではなかったかと考えられている。他にも「イカスミパスタ」に代表される様にポルトガルの宣教師によって西洋料理の一つとして「いかすみ」を使う料理が伝えられたのではないかとの説もある。いずれにしても沖縄では「いかすみ汁」をはじめとして、「イカスミそば」、「クリジューシー（いかすみ雑炊）」などいかすみ料理の食文化が定着している。作り方は

・まず、鰹節、昆布や味噌で出汁をとったスープを作る。

・次にイカ、豚肉と共に玉ねぎ、にんじんなどの野菜を入れて煮込む。

・具材が柔らかくなってきたらイカスミを入れて、にがなや山東菜などの葉物野菜を入れてさっと煮込めば完成。

最初からイカスミを入れずに出来上がりの少し前に入れることで、イカスミに凝縮されたイカの旨味と風味が際立つ。出来上がったらそのまま食べてももちろん構わない、一晩寝かせると味が染み込んでより一層美味しくなりる。