「ひつまぶし/愛知県」

2023年07月14日

ひつまぶし(櫃まぶし)とは、うなぎの蒲焼きを用いた「名古屋めし」のひとつ。ひつまぶしという名の由来には、いくつかの仮説が挙げ られている。

• 「お櫃」のご飯にウナギの蒲焼を「まぶす」を語源とする説。
• 関西地方周辺では元来、うな丼のことを「まむし」あるいは「まぶし」と呼んでいたため、「お櫃に入れたまぶし」の意とす
る説。ただし、この説は名古屋周辺では「まぶす」を「まむす」ということから京阪地方の「まむし」は無関係であるとの見 解がある。なお、「まむし」「まぶし」自体の語源については、「まぶす」の外にも「間蒸し」「飯(まま)蒸し」「鰻飯 (まんめし)」の転訛説などがある。
  蒲焼にしたウナギの身を切り分けた上で、お櫃などに入れたご飯に乗せ(まぶし)たものを、食べる側が茶碗などに取り分けて食べるのが 基本的なスタイルであり、これが料理名の由来(由来には異説もあり。)となっている。そのまま通常の鰻飯として食べてしまうこともで きるが、一般的にワサビや刻み海苔・刻みネギなどの薬味、出汁やお茶などが添えられて提供されるため、それらを食べる側の好みに合わ せて取り分けた鰻飯に掛けたり、お茶漬けにすることにより、味の変化を楽しみながら食べることができるようになっている。この料理の 成り立ちについては諸説あり、正確にはわかっていない。蒲焼のうち、型崩れしていたり、切れ端の部分を勿体ないからとご飯に乗せて客
 に提供したものが始まりだという説が紹介されたこともあるが、その始まりの時期が、まだウナギの養殖が始まる前の質にバラつきがあっ た頃(明治時代以前)であるとされたり、第二次世界大戦後の食糧難の時代であるとされたりと、はっきり特定されていない。当時の文献 としては1964年(昭和39年)に創元社より発行された『名古屋味覚地図』の「いば昇」の項に「櫃まぶし」の記述が確認できる。
ひつまぶしの食べ方は客の自由に任せられるが、店によって推奨される食べ方がメニュー表や公式サイト等に掲載されていることが多い。 「あつた蓬莱軒」では以下の方法を推奨している。
 1. お櫃の中のご飯を、しゃもじで十字に 4 等分する。
2. 分けられたご飯の 1/4 を茶碗によそい、普通の鰻飯として食べる。
3. 次の 1/4 をよそい、薬味のネギ、ワサビ、海苔などを好みに応じてかけ、混ぜて食べる。
4. さらに次の 1/4 をよそい、出汁や煎茶を注ぎ、お茶漬けのようにして食べる。
5. 最後の 1/4 は、上記 3 つのうち最も気に入った食べ方で食べる。
 なお、他の店舗でも基本的に上記 2~4 の 3 つを挙げていることが多い。