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2024年02月23日
『ウォーターボーイズ』(WATER BOYS)は、 2001年(平成13年)9月15日に公開の映画。成り行きから文化祭でシンクロナイズドスイミングを発表することになった男子高校生の奮闘と友情を描く青春コメディ。監督、矢口史靖。主演、妻夫木聡。
モデルは男子校の埼玉県立川越高校の水泳部が実際に1988年(昭和63年)から文化祭の演目として行っているシンクロ公演。1999年(平成11年)、プロデューサーが『ニュースステーション』(テレビ朝日)で放送された川越高校水泳部のドキュメンタリーを見て映画化を着想。後に矢口史靖監督が加わり、50mの屋外プールで部員全員で繰り広げるインパクトのあるシンクロ演技とその背景にある文化祭に訪れる近隣の女子高生にモテたいという不純な動機の面白さに、「これは映画にすべきだ」として、2001年(平成13年)の映画化に至った。撮影の1か月以上前からシンクロの練習を開始する必要があることから売れている俳優をキャスティングすることはできず、まるまる2か月以上スケジュールが空いている若手の俳優のみを募集して、当時まだ無名だった妻夫木聡や玉木宏らがキャスティングされた。撮影開始後も千葉県内の学校のプールに拘束されて連日シンクロの練習を続け、シンクロ漬けの日々を送った。後に矢口監督は、「彼ら自身も何か鬱屈した、”ぶつけたいんだ”、というエネルギーが溜まりに溜まっていたので、それがスクリーンにそのまま映ったというのが、お客さんに伝わったんでしょうね」と語っている。
劇場公開から徐々に口コミと地方キャンペーンで話題となり、結果的に大ヒット映画となった。当初は少数の映画館のみの上映だったが、全国各地での地道なキャンペーンと独特の宣伝展開で劇場数が増え、最終的には上映劇場100館、上映期間は6ヶ月を越える。この現象は映画業界で話題になり、それ以降同じような映画が乱立した。シネマコンプレックスの普及と時期と重なり、2000年(平成12年)以降の邦画復活のきっかけを作った。映画のヒットにより全国で「シンクロブーム」が起こり、高校を中心に男子シンクロ部が設立されるなど大きな影響を与えた。映画のモデルになった川越高校水泳部のドキュメンタリーが『にんげんドキュメント』(NHK)や『スーパーテレビ情報最前線』(日本テレビ)で放送され、同校の文化祭は約3万人もの入場者数を記録するまでになった。
物語のあらすじは、
静岡県相良町(現、牧之原市)が舞台。部員は鈴木智(妻夫木聡)ただ一人という廃部寸前の唯野(ただの)高校水泳部に、美人教師・佐久間恵(眞鍋かをり)が顧問に着任した途端、部員が30人に激増。ところが、佐久間が本当に教えたかったのは、なんとシンシンクロナイズドスイミングだった。恐れをなした多くの部員たちは逃亡。しかし取り残された部長の鈴木、何事も中途半端な元バスケ部員の佐藤(玉木宏)、筋肉を付けたいガリガリのダンス少年・太田(三浦哲郁)、カナヅチ克服と水の力学の解明を目指すガリ勉・金沢(近藤公園)、ちょっと女の子っぽい早乙女(金子貴俊)の5人は泣く泣く学園祭に向けてシンクロをやる羽目に。しかし佐久間は突如、妊娠によるつわりを引き起こして休職してしまう。さらに学校のプールは、男子がシンクロを行なう事をバカにしたバスケ部により、釣りぼりとして使われる事になり、周囲からバカにされまいと5人は急にやる気を見せだした。既にプールに放たれていた魚を捕まえ、オカマバーのママ(柄本明)など地元の商店街から協力を得ながらも、予行演習で全くシンクロらしい演技もできず、水泳部の責任者・杉田(杉本哲太)を怒らせてプールの使用を禁止されてしまう。学園祭の発表は絶望的になる中、鈴木は予備校で桜木女子高の空手少女・木内静子(平山綾)と出会い、一目惚れ。勿論、学園祭でシンクロをやる事は言えるはずもなかった。ある日、木内と訪れた水族館で、見事に泳ぎ回るイルカのショーに触発された鈴木は怪しげなイルカの調教師・磯村(竹中直人)に頼み込み、離れかけていた佐藤たちと共に水族館や海でシンクロの練習(実はいい様にこき使われているだけ)に鍛えられて、見事に上達していく。ある日、海で練習していた所に水水難救助隊が駆けつけてきた。練習を海で溺れていると勘違いした人による通報だったが、これが話題を呼んでテレビ報道されるまでに至り、多くの住民をはじめ唯野高全体も惹きつけて、シンクロは正式に実施されることが決まり、大勢の生徒によって演じられることとなって勢いを増した。それでも、水族館練習中に発覚した早乙女が前々から佐藤に恋をしていたという真実、自分が学園祭にシンクロをやるのだと木内に明かせない鈴木と、部員二人の心は迷っていた。だが学園祭前日、学内でボヤ騒ぎが発生してしまい、消火のために消防隊はプールの水を用い殆ど使い切ってしまった・・・・・・。