「ずんだ餅/宮城県」
2023年05月05日
第八話 5月5日は「ずんだ餅/宮城県」
ずんだ餅(ずんだもち または づんだもち)は、すりつぶした枝豆を餡に用いる餅菓子で、南東北部、特に宮城県を中心にした地域の郷土 菓子。現在においては「牛タン焼き、笹かま、ずんだ餅」の「三大仙台名物」の一角となっている。旧仙台藩(伊達藩)領である宮城県及 び岩手県南部(一関市・奥州市周辺)、福島県北部(相馬市周辺)及び山形県(米沢市周辺)で「ずんだ餅」もしくは「じんだ餅」の名称 で伝わり、それらに接する秋田県南部、および栃木県北西部などにも似た料理が伝わっている。また、大阪府南部(堺・泉州・南河内)には、餅や白玉を大豆餡、または、枝豆餡で包んだ「くるみ餅」という郷土菓子がある。かつてはお盆、お彼岸の時期に米農家などで作られ るもので、一部の餅店、団子屋で季節商品化されてはいたが、仙台の(株)黄金食品・仙台藩名物ずんだ餅本舗が「冷凍ずんだ餅」を開発 し、郵便局のふるさと小包を利用したお取り寄せ商品として販売を開始して以降、年間を通しても食べられるようになった。その後追随す る食品メーカーが増え、菓匠三全が「ずんだ茶寮」のブランドで仙台駅などでの販売を始めた頃には「仙台名物」の一角として一般にも認 識されるようになった。なお、「ずんだ餡」には枝豆を使用するのが一般的だが、一部にエンドウやインゲンを使用したものも販売されて いる。風味の違いに注意されたい。ずんだ餡は餅以外にもパンやケーキ、乳製品などとの親和性が高く、近年和洋問わず様々な「ずんだス イーツ」が各社から発売されている。名称の「ずんだ餅」の名称の由来には諸説あり、その中で有力なものに「豆打餅説」と「陣太刀餅 説」とがある。他に「甚太餅説」「ぬた餅説」などがある。豆打餅説については、その製法から採られた「ずだもち(づだもち)」が訛っ たものとされ、陣太刀餅説については戦の陣内において太刀で豆を切り刻んだ「じんだちもち」が訛ったものとされる。いずれの説も決定 的な証拠に欠けるものであるが、米農家に伝わってきたという点から「豆打餅説」に分があると思われる(旧武家の数が少ないということ もあるが)。なおどちらの説においても「伊達政宗公が名付けた」とされる点が共通している。枝豆を茹で、薄皮を剥いて潰し、砂糖と食 塩を混ぜてできたずんだ餡を餅にまぶす。一般的にはすり鉢などですり潰すが、包丁やフードプロセッサーなどで細かく切り刻むものもあ り、様々である。餅と共に餡も水分を多く含むため長くはおけず、餡が乾いてしまうと餅も固くなり、風味が落ちる。