異人たちの夏

2024年01月05日

『異人たちとの夏』(いじんたちとのなつ)は、山田太一の小説を基にした同名の映画。

妻子と別れた人気シナリオライターが体験した、既に亡くなった筈の彼の家族、そして妖しげな年若い恋人との奇妙なふれあいを描いたもので、新潮社が設立した山本周五郎賞の第1回受賞作品。『小説新潮』1987年(昭和62年)1月号に発表され、同年12月に新潮社より上梓。1991年(平成3年)11月に新潮文庫に収録され、解説を田辺聖子が担当した。映画は、1988年(昭和63年)9月15日公開。監督、大林宣彦。主演、風間杜夫。

物語のあらすじは、

壮年の人気シナリオライターの原田(風間杜夫)は妻子と別れ、マンションに一人暮らし。ある晩、若いケイ(名取裕子)という女性が飲みかけのシャンパンを手に部屋を訪ねてきた。「飲みきれないから」という同じマンションの住人である彼女を冷たく追い返す。数日後、原田は幼い頃に住んでいた浅草で、彼が12歳のときに交通事故死した両親(片岡鶴太郎、秋吉久美子)に出会う。原田は早くに死に別れた両親が懐かしく、少年だった頃のように両親の元へ通い出す。「ランニングになりな」とか「言ってる先からこぼして」などという言葉に甘える。原田はそこで、ケイという女性とも出会う。チーズ占いで木炭の灰をまぶしたヤギのチーズを選ぶと、「傲慢な性格」だといわれる。不思議な女性だと感じながら彼女と愛し合うようになる。父とキャッチボールをしたり、母手作りのアイスクリームを食べたり、徐々に素直さを取り戻して行く。両親を失ってから一度も泣いたことはなく、強がって生きてきたのだった。しかし二つの出会いと共に、原田の身体はみるみる衰弱していく。ケイもまたあの日、チーズナイフで自殺していたのだった。「たとえ妖怪、バケモノでもかまわない。あの楽しさ、嬉しさは忘れられない」というが、別れの時が来る。両親と、浅草の今半別館ですき焼きを食べることになるが、「たくさん食べてよ」といっても、二人は微笑むだけだった・・・・。

 

「日本の名作映画」シリーズ