「大台ヶ原山/奈良県」
2023年01月12日
大台ヶ原山(おおだいがはらやま)は奈良県と三重県の県境にある標高 1,695.1m の山。「日本百名山」に選ばれたほか、「日本百景」、「日
本の秘境100選」にも選ばれている。1980年(昭和 55 年)にユネスコの「生物圏保護区」(ユネスコエコパーク)に登録された。(登
録名:大台ケ原・大峯山・大杉谷)。最高点の一等三角点は基準点名が「大台ヶ原山」であるが、国土地理院による地図には日出ヶ岳(ひで
がだけ)と表記され、三重県の最高峰である。三津河落山(さんずこうちさん)や経ヶ峰(きょうがみね)など、標高 1,400m から 1,600m
の複数の山と、これらの山に囲まれた東西 5 km ほどの台地状の地帯は大台ヶ原(おおだいがはら)と呼ばれ、奈良県吉野郡上北山村と同
郡川上村および三重県多気郡大台町にまたがっている。大台ヶ原は「吉野熊野国立公園」の一部に指定され、特に景観を保護するために特
別保護地区に指定されている。大台ヶ原は中央構造線の南に位置し、海洋プレートがユーラシアプレートの下へ潜り込む際に、海洋プレー
トに堆積した砂岩やチャート(堆積岩の一種。主成分は二酸化ケイ素(石英)で、この成分を持つ放散虫・海綿動物などの動物の殻や骨片
(微化石)が海底に堆積してできた岩石。非常に硬い岩石で、層状をなすことが多い。釘などで擦ってもほとんど傷がつかない。)がユーラ
シアプレートの縁へと押し上げられて隆起した地形であると考えられている。大台ヶ原は日本では希な非火山性の隆起準平原であるとされ
ている一方で、今から 1500 万年前に巨大噴火が起こり、大台カルデラが形成されていたとする説もある。西部と南部は山地隆起と削剥に
よって標高差 1,000m の深い谷筋が形成され、硬い岩石で構成された地質が鋭く切り立った地形を作り上げている。南東方面は熊野灘に
面するリアス式海岸で、大台ヶ原は海岸線からの急峻な斜面の頭頂部にある。南東の急峻な斜面を海上から湿った風が吹き上げるため大台
ヶ原では年間を通じて降水量が多く、屋久島に並ぶと言われるほどの多雨地帯である。特に日本列島の太平洋側を台風が通過する際には南
東からの風が強くなるため、10 月ごろを中心に降水量が多い。1920 年(大正 9 年)には年間 8,214 ミリの雨量を記録し、1923 年
(大正 12 年)9 月の台風時には一日に 1,011 ミリの降水記録がある。大台ヶ原は「吉野熊野国立公園」のひとつに指定されていて、中
心付近の標高 1,573.7m 地点には大台ヶ原の自然や歴史を紹介する施設として「大台ヶ原ビジターセンター」が建てられている。ビジター
センターには 200 台以上を収容できる駐車場が整備され、周辺には売店や飲食店、宿泊施設が営業している。登山道はビジターセンター
を起点に周回する複数のルートが整備されているほか、東側山麓の大杉渓谷からのルートが知られている。1961年(昭和36年)に大
台ヶ原ドライブウェイが開通してからは、手軽に訪れることができる山となり、登山者や観光客が増加したことが自然に影響を与えている
と推定されている。