「朝熊山/三重県」
2023年01月10日
朝熊山(あさまやま)は、三重県伊勢市・鳥羽市にある山。正式名称は朝熊ヶ岳(あさまがたけ)。『三国地誌』では「岳(たけ)」とも記さ
れ、伊勢市近辺で「岳」は朝熊山を意味する。南方に連なる「朝熊山地」を含めて「朝熊山」とする場合があり、この場合には志摩市まで跨
がることになる。山頂付近に臨済宗の金剛證寺があり、この寺を「朝熊山」と呼ぶ場合もある。朝熊山は標高 555m の北峰と約 540 m
の南峰(経ヶ峯)のほかにいくつかの峰がある。「伊勢志摩国立公園」の中にあり、「日本百景」に選定されている。紀伊半島から太平洋に
突き出た志摩半島の最高峰で、山頂付近は「初日の出」の名所である。朝熊山は伊勢志摩を代表する霊山として知られる。朝熊(あさま)
は、『延喜太神宮式』などに「朝熊(あさくま)」とあるように「あさくま」が本来の読みであり、音が約され「あさま」となったと考えら
れる。なお、「あさくま」との読みは伊勢神宮摂社の朝熊神社に残っている。「あさくま」の語源として、浅隈(川の浅瀬を意味する古語)
に由来する説(度会清在『旧蹟聞書』)が有力とされる。ほかに、この地を訪れた空海の前に朝に熊が夕に虚空菩薩が現れたという伝説に
よる説(金剛證寺伝)、朝熊神社の祭神である葦津姫(別名木華開耶姫、このはなさくやひめ)の通音に由来するという説(度会延経)な
どがある。北峰に三角点がなかったため、ケーブルカーの駅の跡付近の一等三角点の標高の 478 m を誤って記載する地図が昭和時代には
数多く存在した。